Webマーケティング データフィード メディアインタビュー
2023年7月6日

サービス開始から1年—。今、急激にアカウント数が増えているMicrosoft 広告の全貌

2022年5月末、マイクロソフトは日本における「Microsoft 広告」のサービス提供を開始。さらに今年2月には新しいBingを発表するなど注目を集めています。サービス開始から1年、現在の状況を日本マイクロソフト株式会社の広告部門の責任者である有園 雄一氏とカスタマーソリューションマネージャーの古田 晋一氏に伺いました。

日本マイクロソフト株式会社
🔶有園 雄一氏
Microsoft Advertising
Regional Vice President Japan
🔶古田 晋一氏
Microsoft 広告事業本部カスタマーソリューションマネージャー

検索、ブラウザ、直近のシェア等の変動

本日はお時間をいただきありがとうございます。
早速ですが、直近のマイクロソフトユーザーの変動などについて教えてください。5月末時点でBingのシェアは16.7%、Edgeのシェアは23.2%と、検索やブラウザのシェアが伸びてきているとお聞きしました。

有園氏

はい、ここ1年で利用者は非常に伸びてきています。今年2月に新しいBingが発表され、5月に一般公開となったのですが、そこからモバイル経由での広告売上も伸びている状況です。私はインターネット広告に約25年間携わり、様々なサービスの立ち上げに関わってきましたが、Microsoft 広告の売上が伸びるペースは圧倒的に速いと感じています。この勢いは過去に経験がないものですね。

昨年8月にはMicrosoft Rewardsという、日々の検索等でポイントを貯められるサービスを開始したのですが、数か月でユーザー数は数百万まで一気に伸びています。現在、ポイントはAmazonやUber Eatsのギフト券などに交換可能ですが、今後他社のポイントサービスとの連携により、より多くの場面でも使えるようになる見込みなので、スマホユーザーの獲得もさらに進んでいくと思われます。
(写真:有園氏)

Microsoft Rewardsプログラムとは

検索でポイントが貯まるというのは新しいですよね。

有園氏

実はグローバルでは2016年には開始されていたのですが、日本での利用も伸びていますね。
私の中学生の娘にも「やってみたら」と紹介したのですが、「検索するだけでポイントが貯まるの?!」と嬉しそうに使っています。あくまで私個人の例ですが、日々検索をしているだけで毎月500~600円程度に相当するポイントは貯まるので、文庫本1冊は購入できるぐらいの計算です。

さすがポイント大国の日本ですね。ただ、そこのポイントに係る費用が嵩んで広告売上の逆ザヤになるようなことはないのでしょうか?

有園氏

実はそこは全く別ものとして捉えています。
Data Dividend(データ配当金)といって、個人データを利活用する代わりにその個人へ得られた利益の一部を還元するという考え方があるのですが、マイクロソフトの主席研究員で経済学者であるグレン・ワイルがそのData Dividend(データ配当金)の思想を大切にしていて、厳密にはデータ配当金ではないものの、マイクロソフトではユーザーのアクションに対して「ポイントでお返しする」ということを実践しています。

さらに、マイクロソフトのミッションは「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」というもので、すべての人を後押しするサービスを展開していきたいという想いがあるため、その考え方も反映されています。

広告メニューについて

現在、大きく分けて「検索」と「オーディエンス」の2軸のメニューがあるかと思います。それぞれの直近の動きや伸びについて教えてください。

古田氏

「検索」と「オーディエンス」のどちらも好調ですが、直近はオーディエンス広告がより伸びてきている印象です。
また、それぞれ業種も偏りなく様々なクライアント様にご利用いただいていますが、特に「検索」はショッピング広告があるので、EC系クライアント様の伸びが顕著ですね。
(写真:古田氏)

ユーザーの特徴も教えていただけますか?

有園氏

マイクロソフトのユーザーには「男性の法人ユーザーが多い」というイメージを持たれることが多いのですが、実は個人ユーザーも多く、男女比もそこまでの偏りはありません。

具体的には、40~50代で年収レンジが高く、意思決定者の割合が高いという属性があります。また、16~24歳の割合も高くなっていますね。
これは、2019年に開始されたGIGAスクール構想(全国の児童や生徒1人につき1台のコンピュータを整備する文部科学省の取り組み)も関係していて、学校で導入されているPCの多くがWindowsなのですが、そのWindows PCのデフォルトブラウザとしてEdgeが搭載されていて、児童・生徒たちが在学中だけでなく卒業した後もEdgeを使っていただいているケースが多いという点にあります。それにより、10~20代の割合が高いという特徴が出ています。


(Microsoft 広告のサービス資料より抜粋/2023年6月時点)

CPCを低く抑えられる理由

当社は自社で検索メディア「Become」を運営していて主な集客方法はGoogleやYahooのリスティングですが、直近でマイクロソフトのリスティングも開始しました。実際に運用してみて、CPCが低いという印象を持っていますが、低く抑えられる理由はなんでしょうか?

有園氏

以前はMicrosoft 広告が開始したばかりで入札競争がそこまで行われていないからだろうと思っていたのですが、ここ最近はマイクロソフトが持つファーストパーティデータが圧倒的に多いことが理由だとわかってきました。

例えばユーザーが「伊豆 旅行」で検索した場合はかなり入札競争が高くなるかと思います。ところが(50代男性、サウナ好き)というプラスの情報が組み込まれた上で検索されると、入札競争が抑えられ、結果的にCPCが低くなります。また、ユーザーもより自分に適した検索結果が表示されるため、CVRがあがりやすく、「CPAで見ると他社と比較して10分の1くらいに抑えられている」というクライアント様もいらっしゃいます。

マイクロソフトは盤石なファーストパーティデータを持っていることで、クオリティの高い検索結果を出すことができています。

「Become」でもかなり効率が良いため、Microsoft 広告の予算をアップしているところです。
現在はYahoo経由でも配信できるかと思いますが、何か違いはありますか?

有園氏

はい、現在はYahoo! Japanでテキスト広告を出稿すると、Bing面にも配信されます。
入札競争や先ほどのファーストパーティデータの観点からも、現時点ではYahoo経由での配信よりも低CPCで、且つ検索上位が取れやすい環境となっています。

(写真:右/高木、左/金森)

Microsoft 広告の特徴、強み

実際にMicrosoft 広告を運用する中で特徴や強みは肌で感じていますが、改めて教えていただけますでしょうか?

古田氏

はい、実際に運用してもらうとターゲット精度の違いなどは実感いただけるのではないかなと思います。
また、Google社以外でショッピング広告が配信できるという点や、バーティカル広告といって業種やカテゴリに特化したフォーマットの広告に注力している点なども他媒体との差別化になるかと思います。

バーティカル広告では自動車や金融サービス、トラベルなど、EC以外の業種でもデータフィードを活用して広告の自動生成が可能です。まだ日本では開始したばかりなのでご相談ベースでの配信にはなりますが、今後さらに力を入れていきたいメニューの一つですね。

有園氏

ご存じの通り、GDPRの施行によりサードパーティークッキーが使えなくなるという流れがありますよね。我々は、サードパーティークッキーにあまり依存しなくても良いと思っています。なぜならファーストパーティデータを多く持っているからです。
先程もお話ししましたが、ファーストパーティデータを多く持っていることで、CPCを低く抑えられ結果的にパフォーマンスも高くなります。そこが強みの一つだと考えています。

また、新しいBingでは検索にChatGPTを搭載しているのですが、探している答えにたどりつくまでにチャット形式で検索が絞り込まれます。通常の検索エンジンでは「伊豆 旅行」で検索すると結果ページがそのまま出てきますが、AIの検索では「伊豆 旅行」の検索からさらに「格安でペットOKのところはある?」などチャット形式で徐々に絞られてきたコンテキストを踏まえて広告が出る仕組みです。
ユーザーが必要な情報まで絞り込んだ結果の方が競合は圧倒的に少ないので、CPCは下がりやすく、CVRが上がりやすい傾向にあり、これはChatGPTを搭載しているBingならではの特徴といえると思います。

もう一つの強みは、Netflixでの広告配信ができる点です。世の中には様々な動画配信サイトがありますが、Netflixの場合はアカデミー賞などを獲るような圧倒的に美しいコンテンツで構成されており、意図していない動画に配信されないかなどの心配はありません。
ハイクオリティな広告を提供することができるので、ブランディングをきちんとやっていきたいというクライアント様にはおすすめですね。

Microsoft 広告とデータフィードについて

弊社は自社メディアの運営と広告代理店事業に加えて、「データフィードサービス」も提供しています。先月もECサイトのクライアント様のMicrosoftショッピング広告用データを作成いたしました。
改めて、Microsoft 広告におけるデータフィードの活用について教えてください。

古田氏

現在は「ショッピング広告」と「バーティカル広告」の二つでデータフィードが必要です。ショッピング広告は直近でもかなりアカウントが増えていますね。実はマイクロソフトの場合は小売りだけでなく「ふるさと納税」などの業種も掲載OKとなっているため、そういったアカウントも増えています。

データフィードのフォーマットと、パフォーマンスに影響する部分があれば教えてください。

古田氏

現在はGoogleショッピング広告のフォーマットを活用できるようになっていますが、我々独自の仕様もあります。

また、データフィードの情報を充実させることでパフォーマンスがあがりやすくなるため、タイトルは文字数の上限まで入れてもらい、説明文もカラーや素材などの多くの情報を入れていただくなど工夫いただけると良いかと思います。

データフィードの最適化によってパフォーマンスも変わってくるということですよね。
我々フィードベンダーや広告代理店に期待することはありますか?

古田氏

実はデータフィード広告が難しいと思っているお客様が意外と多くいらっしゃいます。データフィード広告はパフォーマンスがかなり良いので、そこのハードル下げるような取り組みやサポートをしていただけると、我々としても助かりますね。

有園氏

広告代理店の方に期待することとしては、データマーケティングのさらなる活用です。
繰り返しにはなりますが、マイクロソフトの場合、きちんとユーザーに同意をとったファーストパーティデータを多く持っています。我々は個人のデータを守りながら、より良い情報をユーザーへお渡しすることで、ユーザーが信頼して個人データを渡してくれるという良い循環ができています。

そのマイクロソフトがもつファーストパーティデータと商品や購買のデータなどを組み合わせて広告配信に活用すると、よりターゲティングの精度があがり、効果も上がっていきます。効果が上がれば上がるほど、日本経済は効率的に回りますよね。
私はデータマーケティングについては、まだまだできることがあると思っています。広告代理店の方とは、そういったことを一緒に実現していきたいですね。

有園様、古田様、本日はありがとうございました。貴重なお話を伺うことができ、大変勉強になりました。弊社では自社メディアでの広告出稿、代理店としての広告運用、フィードベンダーとしての連携と、3つの軸でお世話になりますが、今後ともよろしくお願いいたします。

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